園芸・渓流釣り・温泉

東谷2連8mの滝を越えた!「東谷単独釣行...クライマックス」



東谷出合から2連8mの滝までは2回目だから様子は判っていた。黒部川本流
から差したイワナは、魚留の滝となる二段になった8mの滝が障害になって上流
には遡上できない。本来東谷に生息するイワナは滝から上ということになる。

まれに、増水した時に東谷上流のイワナが滝を越えて下流に下ることはあるかも
知れないが、増水の時はイワナは川底に待機している筈だから考え難い。

それはともかく、問題はこの滝をどう越えるかだった。



再掲 2連8mの滝


右側は垂直の壁面、全体を見回してもよじ登れそうな場所は見当たらなかった
が、垂直な壁面から手頃な木の枝が一本伸びているのが目についた。

壁面の窪みに足を掛ければ、なんとか木の枝に手が届きそうに思えた。こういう
場合、二人なら台になったり、無理して肩車などで容易に手が届く感じがした。

「よし!ここしか無い!」

ザックから6mm3メートルのザイルを用意して、岩の窪みを探し、右足を掛けて
半分ジャンプのような感じで自分の腕ほどの太さの枝に飛びついた。

何の木だか判らないが、折れたり、抜けたりするような木ではなかった。ブナのよ
うな感じの木だった。

「うまく行った!」

手を離せば滑り落ちてしまう。必死になって掴んだ木にすがりついて引き寄せ、
その上の別の木の枝に手を伸ばして握りしめた。

そこから上は、ある程度足場を確保できて登ることができた。やれやれである。
予定通りの計画であったが、太い枝を見つけて帰りに降りる為の命綱を結んだ。

滝の上部は割合明るく開けて居り、約100mぐらいは平坦になっていた。

伏流になっているのだろうか、沢の流れは無かった。少し歩くと左側の山の面に
四角い人工的なコンクリートの2メートル四方の吐き出し口が見えた。



上流から隧道を経て流れ出る(吐き出し口)


吐き出し口からは、勢いよく水が流れ出し山裾に沿って滝の方へと下っている。
その時は水がどんな状態で流れているのか見ようとは思わなかった。

それは、「東谷は実際に遡行可能だろうか?」ということで頭が一杯で、とても、
そんな余裕は無かったのである。

「この先はどんな渓相になっているのだろうか?」

好奇心と東谷のイワナに遭遇する期待で胸がふくらんでいた。


この辺りは、今考えると熊に出合っても可笑しくない人の匂いのない感じの
場所だった。話に、熊出没注意などの看板を目にするが多分、看板がある
ような場所には余程のことがない限り熊は出没しないと見込んでいる。腹を
すかせた余程の事情のある熊が人と遭遇するに違いない。

上流の渓相を見たい、はやる気持ちで歩いていると何か視線のようなものを
感じた。こういう場所だから踏み跡は無く雑草や灌木の間を行くのだが、右側
は岸壁からせり出すような林になっていた。

視線は其処からだった。それは、遠目に見て体長60cm位のフックラとした黄
色い体毛に覆われた「テン」だった。距離間は約20m程、野生のテンに遭遇
したのは初めてであった。テンは暫くこちらを見ていたが、素早く身をひる返し
て姿を消した。

渓流釣りでは、よく「オコジョ」に出会う。岩陰に隠れたかと思うと、姿を現し
暫く静止してはこちらの動きを観察し、再び姿を隠したりして、遡行する道す
がらに釣り人と同行する愛嬌者で人懐っこい。

テンは黄テンよりも黒テンの方が希少価値があってランクは上らしい。元職漁
師のS氏は冬に狩猟もやっていて、そんな事も言っていた。

野生のテンをカメラに納めたいとは思うが、当方メインは釣りだから、写すには
撮影専門でないと間に合わない。オコジョならなんとかなりそうだが動きの速い
テンを、遭遇しても写すことは不可能に近いと思う。

やや歩いて、古いコンクリートの堰堤の上に出た。左の岩壁には、さっき見た吐
き出し口と同じような形状の取り入れ口が有った。この取り入れ口から下の吐き
出し口へと水が誘導されているようだ。




堰堤上面の向こうにザックが見える。右が上流で写真では
見えないが、上流から流れてくる水は下の方に続く取り入れ
口に流れ込んで、堰堤左の下流の吐き出し口から放水され
ている。


この堰堤は高さがあった。目勘定で20m以上は有りそうだった。この堰堤を降
りなければ東谷の上流には行けない。「さて、どうしたものか、、、。」

前方に上流部が見える。あまり水量は無かったが流れの両側は切り立った岸壁
になっていた。堰堤を降りられたとしても、その先の遡行が見るからに難しそう
だった。







堰堤から見た上流部入口 下の写真の流れが堰堤の取り入れ口に
流れている。



「とにかく、この堰堤を降りなければならない。」

持参のザイルは40m、どこかに結び付けて堰堤の垂直面をぶら下がって降りる
しか方法がない。その場合、ザイルが下まで十分な余裕をもって届いていなければ
ならない。

ザイルはダブルで使うから40mではどう見ても足りない。60m位必要な感じだ。

下まで降りられたとして、登りは、最下部にザックを固定して補助ロープを2本の
メインロープにそれぞれ結び(帯型シュリンゲでも兼用)、二段または三段の梯子に
して、両端をずらしながら、足を掛けて登るつもりでいた。

上手く行くかどうか神のみぞ知るところで、駄目な場合は大変でも山を高巻く事に
なるかも知れない。

本格的なロッククライミングの知識も経験も乏しいから、渓流釣りの今までの経験
を活かせる範囲でやるほかはなかった。以前、何度もきわどく危ない経験もしていて、
一例として滝壺に墜落したことも何回かあったが、その都度なんとかなったのである。


しかし、それはそれとして大体が堰堤が高すぎる。何処を見渡して確かめても下降
できそうにない。それに、前方の両岸絶壁の上流に意欲が萎えてしまった。無理して
ロープで降りて途中で宙ぶらりんになったら一巻の終わりは明らかだ。

やることは好奇心で無茶だが無理はしない。2連8mの滝を越えて念願の東谷を
見ることは出来たし、上流はどうなっているかも判ったから、ほぼ目的達成。

堰堤を降りて、峡谷に竿を出し、東谷のイワナを釣ってみたかったが、ここまでで断念
することにした。

帰路、2連8mの滝をロープで降りて黒部川本流右岸の東谷出合に戻った。確か
時間は、昼前だったように記憶している。

本題の黒部川支流東谷がどんな沢なのかは見る事は出来たし、おおよその目的は
達成できたように思う。長いザイル持参して再度挑戦も考えられるが、この辺が潮時
と思った。東谷のイワナを釣ることが出来なかったのは残念だが致し方ない。


実は帰路のそれからが大変だったのである。疲れからか辺りの大小の岩が人の顔に
見えたり、黒部川本流が増水していて渡れず一昼夜、対岸の自分のテントを眺め
ながら夜明かし、8月とは言え標高の高い夜中の寒さは身に応えた。

ここは国立公園、焚火は厳禁だったがケースバイケース、幸いなことに乾燥した材木
が川岸に沢山有ったから、有難く利用させてもらった。

最終のトロリーバス発車のアナウンスが、黒部川の谷を縫って微かに聞こえてくる。
多分距離7、8キロは有るだろうが、それだけ静寂であった。

寒さでほとんど寝られなかった。対岸のテントに衣類があるのに、、、。


昼間、ダム放水が止まり流れが平水になるのを待つ間に、本流のイワナを釣ってみた。

黒部川本流の深みには30cm以上のイワナが群れていたのを昨日のごとく覚えている。









 




















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